新しいスタート
4月8日の始業式で、2・3年生を前に話した式辞の内容です。
『3月に卒業生と転任・退職される先生方を送り出し、春休みを迎え、今日、新たな先生方と出会い、明日から新入生を迎えます。3月の別れは、4月のこの出会いのためにあります。クラス替えのない大島中学校は、進級しても学年の友達の顔触れは変わりません。新しい学年を迎え入れ、新しい先生との出会いやふれあいで、心機一転、リスタートをしてください。校長先生もみなさんのことをよく知るために、授業や部活動の様子を見に行きたいと思います。邪魔をしないように隅の方にいるので、気にせずに授業や部活をしてください…。
ここまでの話を聞いて何か気付いた人はいますか?
今までの部分は昨年度の式辞と全く同じ文です。1年前の始業式の話を事細かに覚えている人はいないだろうと思って使ってみました。特に違和感がなかったと思います。じゃあ同じでいいのでしょうか?毎年四月になり、新学年がスタートします。2・3年生にとっては、また同じことの繰り返しのように感じ、入学したときの新鮮さが薄れ、ともすれば年度が変わっても、新たな決意や目標もなく、「今までと同じでいい」「去年と同じでいい」と考えてしまうかもしれません。けれども、当たり前のことだけれども、同じ1年や同じ1日はありません。必ず何かしらが変化しています。自分自身も変化・成長していかなければならないのです。ですから、同じ1学期の始業式だからといって同じ挨拶をしていいわけはありません。君たちは1年進級しているし、先生も1年分は成長していないといけないのです。君たちも先生方も1年分の成長を積み重ねていけば、大島中学校はもっともっといい学校になっていけると思います。明日、新入生を迎えます。1年分成長した2・3年生として迎えてあげてください。』
本校での勤務が2年目になりました。何もかも初めてだった昨年とは違い、「一度経験したこと」がほとんどになってきます。その時、安易に「前と同じでいいや」と思うのと「前回の経験から改善点はないか」と考えるのでは、ものすごく大きな差になるはずです。昨年の成果や反省が生きる1年になるように教職員一同、努力いたします。よろしくお願いいたします。
今治市立大島中学校長 田窪直樹
3学期始業式から
令和6年は、元日からの「能登半島地震」で驚きのスタートとなりました。自然災害なので、正月は関係ないのは当然なのですが、「まさか元日から」というのが多くの人の感想ではないでしょうか?日を追うごとに犠牲となった方が明らかとなり、まだまだ増えていきそうな気配です。亡くなった方々のご冥福を心からお祈りしたいと思います。
この度、今治市は「住みたい田舎ベストランキング」で2年連続4部門1位を達成したそうです。普段住んでいる我々は、あまり気にしていないことも、他の地域の人から見れば魅力あふれる地域なのだと思います。その魅力の一端に「災害の少ない気候」も含まれていると思います。大雨や台風の被害も少なく、温暖で雪で悩まされることもありません。地震も少ない地域です。しかし、そんなことは言っていられないと感じたと思います。昨年11月に行った合同避難訓練など、常に備えをしないといけないと再認識させられました。
被災地の多くの学校で今日からの三学期が開始できないなど、日々、報道される被災地の状況を見るにつれ、「何かできないのか」「ここで普通に生活していていいのか」と考えた人も少なくないかもしれません。私もそう思うものの、現地にボランティアに行くために、学校を離れ、自分の仕事を休むことはできません。私たちにも私たちの生活があるのです。では、私たちにできることは何でしょうか?それは、それぞれの生活しているところで、自分にできることを懸命にすることだと思います。「大丈夫かな」「早く復興してほしいな」と願いつつ、自分に今できることを頑張るしかないのです。
三学期は「令和5年度」の締めくくりの学期です。三年生は希望する進路の実現に、一・二年生は来年度へのしっかりとした土台づくりに、今いるここで、できることに懸命に取り組んでいってほしいと思います。
二学期の始業式から
「一学期の終業式で2点お願いをしました。1点目は元気に始業式に来てくださいということです。今、ここにいる皆さんはそれが達成できています。当たり前のようですが、一番大切なことです。
2点目は 印象に残る夏休みにしてほしいということです。これに関しては個人差が大きく、『ものすごく充実した夏休みになった』という人もいれば『『いつの間にか終わった』という人もいると思います。
それでも、二学期が始まりました。お盆を過ぎたあたりから、夏休みの残りが少なくなるにつれて、名残惜しく、憂鬱に感じていたかもしれませんが、夏休みは終わりました。もう今年の夏休みには戻れません。だったら、気持ちを早く切り替えて、少しでも楽しく、有意義な学期にするようにしてほしいと思います。
早く気持ちを切り替えて頑張るために役立つかもしれない、私の好きな言葉を紹介します。
『おもしろき 事もなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり』
幕末に活躍した高杉晋作の辞世の句だといわれています。
おもしろいと思えるものは、そこらにごろごろと転がってはいない。だけど、気の持ちようで、同じことをするにしても、楽しくできるんだという意味だと思います。
「しんどい」「だるい」ときもあるかもしれませんが、同じやるなら少しでも楽しめるように前向きに取り組む2学期にしてください。」
という内容を、始業式で生徒に話しました。失敗は反省しないといけないけど、それすらプラスにできるよう、前向きに活動してほしいと願っています。
「4月の学校だより」より ~年度当初のあいさつ~
4月3日(月)に本校に赴任し、十日経ちました。毎日、来島海峡大橋から見える風景に心和ませながら学校に来ています。今年も桜の木が多くの花を咲かせていました。大島中学校の校庭にも、吉海小学校の校庭にも、道路沿いや山沿いにも、いたるところで桜の花が見られました。例年より少し咲き始めが早く、もう散ってしまった花も多そうですが、春の到来を感じます。
ここ数年、この時期に桜を見ると思うことがあります。「こんなにもたくさんの桜の木があったんだ。」と。「何気なく通っていた道端に植えられていた木は桜だったのか。」「公園の真ん中にあるこの木も桜だったのか。」と、草木に対する造詣が深くない私は、花が咲いたこの時期にだけ気が付きます。桜の花が美しく咲いているのは、一年のうちの十日あまりです。その十日あまりのために、これだけの木を植え、大切に残してきたのかと感動します。桜の木は一年のほとんどは花をつけません。秋からはたくさんの落ち葉が処分に困ります。コストパフォーマンスの点から考えると、面倒だから切ってしまえとなりそうです。けれどもそうはならなくて、木を残し、落ち葉の掃除をして、花が咲く春を待っているのです。
最近の世の中は、華々しい結果を残したときだけチヤホヤしたり、いい結果が残せなかったら激しくバッシングしたりと、目に見える結果ばかりを追い続ける傾向が強い気がします。結果が出る(花が咲くこと)は大事だけれど、そこだけが大切なのではなく、それまでの過程も大切なのです。花が咲いていない、落ち葉が大量に道を埋めている時期に切り倒されなかったから、春を迎え、花が咲くのです。
詩人坂村真民さんの「念ずれば花ひらく」という詩では、人が何かをなしとげたことを「花がひらく」と例えています。人は桜のように、春になると花がひらくとは限りません。すぐに咲く花もあれば、春になっても咲かない花があるかもしれません。いつ咲くかわからない、一人一人のその花が開く時を、じっくりと待てる学校でありたいと思います。いいときばかりでなく、結果が出ないとき、悩んでいるとき、苦しんでいるときに、ともに考え、支える学校でありたいと思います。
桜の花を見ながら、これからの学校の在り方について考えたことです。
今年度、西条市立丹原小学校から校長として赴任しました。3年ぶりの今治になります。よろしくお願いしたします。
今治市立大島中学校 校長 田窪 直樹